9. 投稿 鉄道駅の無人化と安全な利用について
津市 内田順朗
視覚障がい者が鉄道をいかに安全に利用するかというテーマで、大阪を中心に活動をしている通称「ブルックの会」というのがあります。今年の名張でのアイフェスタで講演をしていただいた加藤俊和氏が代表を務められています。
11月に開催された学習会のテーマが「広がる駅の無人化!? 守られているのか私たちの安全」というものでした。当地方では小規模駅の無人化はいまさらの話でもありませんし、この秋になって私の最寄りの近鉄線の特急停車駅でさえ終日無人化となったことや、その他の主要駅でも閑散時には改札口の無人化は広がっている有様です。単独で鉄道を利用する全盲の私にとっては大変大きな関心事であることから、この学習会に参加しました。
(1)駅無人化を補う事業者側の施策について
無人化を進める要因は多くあるようですが、ここではそれは省くとして、対応策も採られてはいます。それらの問題点について挙げてみたいと思います。
① 無人の改札口では必要があれば、インターホンを介してリモートで対応することになってはいます。これについては、インターホンの設置場所が分からなければ利用者側としてはお手上げとなりますね。
② インターホンで対応を依頼できたとして、係員が他所から到着するまでには相当の時間を要することとなります。これには、利便性・安全性の観点から課題が残ります。
③ 乗車予定の日時を連絡しておくと、前もって駅員が配置されるということにはなってはいます。これについては、利用する側からすれば予定通りに行動できる者でもありません。
以上のほかに無人駅では様々な不便さが発生します。生身の駅員さんが配置されていないということは、現状のシステムでは利用者の交通移動権を侵害していると言っても過言ではありません。
(2)安全に利用するためにはどうすれば良いのでしょうか
安全を保つとか不便さを解消するとかの対策は、最小限の要望ではありますが、現状を見ると駅の無人化や合理化はますます広がっていくものと思います。
自衛策はあるのかと言えば、上に記したように時間的な余裕を持って駅員を待つほかありません。鉄道側の対応策を充分に把握しておくとともに自衛策をとらざるを得ないというのが現状でしょう。
(3)利用者の声を挙げて行くのも必要です
鉄道利用にとどまらず、街中での声かけ運動は推進されてはいます。それなりの進歩も感じられるところですが、この国では鉄道利用については周囲の人たちの声かけと協力はまだまだと言えます。「欧米では無人化の駅は多いのですが、周囲の利用者が気軽にサポートしている」というのが今回の学習会でのレポートでした。また、先日読んだネット記事でも以下のような記述がありました。「アメリカでは『できる人ができることを手伝えばいい』というムードがありましたが、日本では『事故でも起きたらどうしよう』と構えられてしまう。障がい当事者も介助してもらうことを遠慮したり諦めたりする人が多いので・・・」ということで、関係方面への必要な要望は、引き続き出してゆくとともに、周囲の人たちにも気軽に援助を依頼するという姿勢も強めていきたいと思っています。
(2024年11月)